藍の生葉染め

藍染めに三度目の挑戦をする。一度目は生葉染めでなぜか失敗。二度目は建て染めでしか染まらないのを知らずに乾燥藍を使って失敗。三度目は再び生葉染めに挑む。

 

(1)まず蓼藍を摘み取る。

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幸い、まだ花が咲いていないものがそこそこあった。

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茎を取り除くと50g。小さな布を数枚染めるのなら十分な量だ。

 

(2)包丁でみじんぎりにする。

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前回は手でちぎった。失敗の原因はそこにあったかもしれない。バラのシュートをピンチする時はソフトピンチといってハサミを使わず指先でプッチンと折る。その方が細胞を傷つけないからだ。しかし、この場合は細胞を傷つけなければならないのだから刃物を使うのが良いわけだ。このひと手間を惜しんだがためにこの先の作業がすべて水泡と化しては泣くに泣けないから頑張った。

 

ここからはA・B2つの方法でやってみる。2種類の染色液を作りたいので生葉を25gずつに分ける。

 

ひとつめは『草木染め大全』(箕輪直子著)に従って・・・(A)としよう。

 

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(A-3) Aは水(300cc)のみで揉み出す。葉がどろどろになるまで力の限り揉み潰すのがポイントのようだ。ここも前の時に手を抜いてしまった作業だ。団十郎朝顔は2〜3分揉んだだけでかなり濃い染色液ができたために、同じような加減でやってしまった。

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ひたすら揉み出すこと10分。まずそうな青汁が出来上がった。本によると、生葉液は時間が経つと染まらなくなるので、揉み出したら素早く染めの作業に移るのがたった一つのポイントだという。

 

(A-4)湿らせてよく絞った布を浸け、30分置く。

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(A-5)30分経ったところで、絞り広げて15分乾かす。こうして干すことで空気(酸素)に触れて青く発色する。

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おっ、上手くいきそうな予感!

 

(A-6)15分経過。ここで登場するのがオキシドール。

オキシドールは過酸化水素(H2O2)を含有しており、より青味が増すという。300倍の水溶液に5分ほど浸けた後、よく水洗いする。

 

『草木染め大全』にはオキシドール水溶液でも色止め効果が期待できると書いてあるが、別の箇所で著者が力説している媒染作業も行うことにする。

 

(A-7)せっかくなので、ミョウバン媒染と鉄媒染を試してみた。媒返しだ!

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浸けているだけで違いが見えてきた。

 

(A-8)15分経ったところで水洗いして乾かす。

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左がミヨウバン媒染、右が鉄媒染だ。

 

さて、干し上がりは後のお楽しみとして、もうひとつの染色方法をやってみる。これは兵庫県西宮市にある武庫川女子大学・牛田研究室のHPが紹介しているもので、藍の生葉で赤紫に染める方法だ・・・(B)とする。

 

(1)、(2)の生葉の準備までは同じ。

 

(B-3)布のアルカリ前処理: 布を5%炭酸ナトリウム(ソーダ灰)水溶液に5分間浸す。今回は重曹を使用する。

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(B-4)絞らずに乾燥させる。

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布をアルカリに保持するのが目的だそうで、ここが一番大事なところだ。

 

(B-5)干している間に、染色液を作るのだが、20%のエタノール水溶液で揉み出すのが特徴だ。アルコール消毒液でもよいとのことなので、現在新型コロナで大活躍のウイルス除去スプレーを使用する。

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お茶パックに入った生葉を10分間、鬼の如く押し揉みし続けた。見た目は水だけのものと変わらない。力が入りすぎてお茶パックが破れ、生葉が混ざってしまったのでザルで漉した。

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六本木と恵比寿の間・・・疲労・・・誰かに肩を揉んでほしい。

 

『草木染め大全』では緑葉を揉み出したら素早く染めの作業に移るのがポイントと述べているが、牛田研究室の説明では揉み出した後、20〜30分放置するとある。生葉液の酵素反応を進行させるためだそうだ。

 

(B-6)20〜30分放置した後、アルカリ前処理した布を30分から1時間浸け込むとある。真ん中を取って45分浸けた。

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(B-7)布を取り出して、干して空気に触れさせる。

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右が初めて使用する布・・・薄〜い。失敗か?! 左は前回前々回と二度にわたって失敗した布・・・良い具合に緑色になっている。

 

(B-8)牛田研究室の説明ではこの後、中性洗剤で水洗いして終わりだが、今回は念のためにミョウバン媒染をした。

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(B-9)ミョウバン媒染液に15分浸け、水洗いして乾かして作業終了。

 

もちろん染色液を揉み出すときはビニール手袋をしたが、指の先が藍色に染まった。

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藍染め職人になったようでうれしい。

 

さあ、結果発表。

 

まず、三度も実験に付き合わされた布は・・・

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干したときはあんなに緑色だったのに・・・一回目でわずかに青く染まったところに、これまたわずかに紫色が入ったが・・・明らかに失敗である。やはり一度染めて媒染処理までした布はもうそれ以上染まらないようだ。これはこれで収穫だ。

 

初めて染めた3枚は・・・

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左は『草木染め大全』に従って染め、最後に鉄媒染をした布。真ん中はミョウバン媒染をしたもの。右が武庫川女子大・牛田研究室の説明に従った「赤紫染め」だ。

この藍の葉が染め方次第でこんなに違ってくるのだから、草木染めというのは奥が深い。

 

牛田研究室によると、藍植物にはインディゴの前駆体であるインジカンという無色の物質が含まれていて、葉を切ったり、揉んだりして組織が破壊されると、葉に含まれる酵素によって分解してインドキシルという物質になる。藍の生葉染めはそのインドキシルを繊維に染み込ませた上で、酸化させてインディゴに変化させて青く染める方法だ。

 

インジカンは酵素分解してインドキシルになるが、分子の結合の違いでインジルビンという物質もできる。インジルビンは生葉染めで色を汚くする不純物色素だが、上手に抽出すると赤色になる色素で、それを利用したのが藍の赤紫染めだ。ポイントはアルカリで染めるということのようだ。

 

難しい理屈はともかくとして、三度目の正直。

 

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鉄媒染。

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ミョウバン媒染。

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インジルビンがいい仕事をした赤紫染め。

 

大成功、10倍返しだ!


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コメント
私もブログをUPしたあと、読み直してから最低2カ所は間違いを見つけます。もちろんUPする前にも確認するのですが、見落とします。仕方ないと諦めています。
  • やなぎ
  • 2020/09/12 7:51 AM
やだー。。まったく、注意散漫。最近、というか、まさに今日もミスタイプのメールを発信して反省したばかりなのに。
先日は宛先を間違えてメールを送信して、本当に冷や汗ものでした。送る前に一呼吸、と、パソコンに貼って自分に言い聞かせても、ダメです。んー、何かいい薬はないものでしょうか。。。
と、今回は読み返しました。
  • よちゃこ
  • 2020/09/11 11:29 PM
よちゃこさん、ありがとうございました。とりあえず成功しました。よちゃこさんがミスタイプしてまで急いでコメントを下さったのがなお嬉しいです(責めても茶化してもいませんよ!)。

プロの染織家はこれを絹糸から染めるのですよね。私にはとても無理ですが、狭い庭ながら染めてみたい草木は結構あるので、絹布で楽しんでみようと思います。

そう、今日は911。あの朝、起床してテレビを付けた時の衝撃は忘れられません。そして東日本大震災から9年半でもあります。方や人災、方や天災ではありますが、あの教訓を未来に活かさなければなりません。
  • やなぎ
  • 2020/09/11 8:02 PM
こんばんは。やなぎさん、染色大成功!おめでとうございます。同じ葉っぱが冷め方によってこんなに違う色に染まるんですね。すごい!しかも、品のいい色ち染まりましたねー。この布たちが何かになるのか?それも楽しみです。
ゴム手してても藍職人みたいな手になるんですね。どれほど揉みしごいたのか。。そりゃ肩も凝るでしょう。くれぐれもどうぞお大事に。あらためてやり遂げたやなぎさんに拍手〜

そういえば今日は911なんですね。
  • よちゃこ
  • 2020/09/11 7:34 PM
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